
提案要旨 外国人保育における子どもの発達と文化交流
萩原 元昭(群馬大学教授) 1)問題点の提示 日本の園に、幼児を在籍させた経験を持つ外国籍の親が、園に対するトラブル、期待や要望を、問題点として列挙すると、次のようなものがあげられる。 ・日本人サイドからの一方向的な国際交流でなく、相互支援的な国際交流を望む。 ・園生活では集団活動よりも、個人で自由に選択できる活動を増やしてもらいたい。 ・外国籍幼児を特別視するのでなく、他の日本人の幼児と同様、個に応じた保育を望む。 ・「みんな一緒で楽しい」という感覚だけでなく、「みんな違うから面白い」という発想を大事にしたい。 ・保育者と親の関係は一方向的な上下の関係でなく、共に幼児を育てるもの同士という関わり方を大切にしてほしい。 ・「外人」といわれ、ショックを受ける幼児もいるし、また外人という言葉は差別用語であるので、使用しないように、日本の幼児に教えてほしい。 ・外国籍幼児の母国の文化や言葉を積極的に理解し、園の行事や生活の中にもっと取り入れてほしい。 ・8時間という長い園保育を、日本式の環境の下での日本への同化という形でなく、多文化、多民族を前提とした保育へ改善してほしい。 ・日本語・日本文化の学習機全の提供だけでなく、母国語・母国の文化についての継続的な学習の機会を望む。 ・保育者や園との連携やコミュニケーションを密にするために、通訳ボランティア、園生活に関する母国語・日本語の対話集や母国語で書かれたガイドブックなどを提供してほしい。
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